バーチャル空間でのオンライン展示会 事前準備とレイアウトの工夫とは
コロナ禍でオンライン化が急速に進み、バーチャル空間「oVice」を使って数百人から数千人規模のイベントや展示会を開催してくださる例も増えてきました。とはいえ、現実空間で開催するイベント同様、バーチャル空間でも乗り越えるべきハードルが高いと感じている方、そもそもどんな準備が必要なのか分からず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
今回は事前準備から当日の運営までさまざまな工夫を行い開催された、大規模展示会「JAPAN OPEN INNOVATION FES 2020→21 Featuring テレビ東京」を見学しました。
- 主催者:eiicon company
- 利用人数:のべ1,000人
- 展示会概要:2021年2月26日開催された、オープンイノベーションプラットフォームAUBAの展示会「JAPAN OPEN INNOVATION FES 2020→21 Featuring テレビ東京」
- AUBAについて:パーソルイノベーション社が運営するeiicon companyの提供するサービスで、全国各地・あらゆる業界の法人(企業・大学・地方自治体など)の提携パートナーを探せる日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム。
オンライン展示会開催のポイント
今回のオンライン展示会はこれまでに見たなかでトップクラスのスムーズさでした。オンライン展示会開催に置いて、感じたポイントは以下の通りです!
■事前準備
- 運営側は事前にoViceを使用し慣れる&疑問点を解消しておく
- 社内と社外用のマニュアルを整備して配布しておく
- アクセスのお試し期間として、開催日より前に会場を開放する
■当日対応
- 入口付近にスタッフを配置&トラブル対窓口を設けすぐに対応できるようにす
- 来場者が使える機能を絞って操作面での混乱を防ぐ
当日の様子も含めて、ポイントを解説していきます!
初見の参加者でも分かりやすい案内
会場は500人同時アクセス可能なバーチャル空間「oVice」のスペース2つをつなげて「ビル化」する形で行われました。1階がネットワーキング会場、2階がセッション会場で、展示会参加者はまず1階に来るという現実の展示会と同じようなかたちです。
まず感じたのは、入口付近にスタッフがいて、どんな設定をすべきか案内されていたのが非常にわかりやすかったということ!
初めてオンライン展示会会場に入った方だと、おそらく多くの人が「ここは何だ?どう動けば良いんだ?」と戸惑うはず。そうした方のサポートのために、名前の変更方法などをアナウンスしているスタッフがそばにいたのは嬉しかったのではないでしょうか。
リアルなイベントで言えば、会場入り口付近に運営側の関係者が複数人いて、「受け付けはこちらでお済ませください!ご案内が必要な方はお声がけください!」と声をかけてくれている状態でしょうか。そばに簡単に声をかけられる人がいると、初めてのオンライン展示会参加者も安心できますね!

参加者がログインすると画面左上にアバターが現れるため、そこにスタッフを配置して案内
トラブル別の受付窓口を会場入り口付近に設置
コロナ禍で加速した展示会やイベントなどのオンライン化。通信機器の設定など、まだまだ慣れていない方も多く、一定程度トラブルは発生するものです。そうしたトラブルに即座に対応するべく、入口付近に「トラブル相談 音声が出ない等」、「その他相談 なにかあったらこちらへ」という案内スペースが設けられていました。
バーチャル空間「oVice」は行きたい場所をクリックするだけでアバターを動かすことが可能。このトラブル対応スペースをクリックするだけでそこに自分のアバターを移動させることができ、スタッフからのサポートを受けられます。
マイクの設定などで自分の声が届かなくでもチャットでやり取りすることができるので、安心してトラブル相談ができる環境が整えられていました。

入り口付近に設置した受付。トラブルなどもここですぐに対応可能
展示会会場で交流&セミナー視聴
準備が整ったらいよいよ会場を見学です!
1階は「自治体エリア」、「スタートアップブース」、「商談ブース」などが設けられたネットワーキング会場。さまざまな企業や自治体がブースを出展し、来場者と交流していました。
会場のブースにはそれぞれのロゴなどを掲載して企業名や団体名、サービス名を分かりやすく表示するだけでなく、ロゴをクリックするとその会社の紹介文などが表示される仕組みを利用! これにより、来場者が見てみたいブースを簡単に見つけられるような仕組みが整えられていました。

ロゴ看板などをクリックすると詳しい説明が現れる
2階はYouTube Liveがその場で鑑賞できるセッション会場。セッションAとセッションBが行えるよう会場のレイアウトを工夫し、それぞれのセッション会場にYouTube Liveが見られるように設定されていました。
来場者はレイアウト上の椅子に座り鑑賞。現実空間で舞台で行われているセッションをながめているような光景が繰り広げられていました。

YouTube Liveの再生ボタンを押すと、各自の画面で視聴ができる
よくよく会場を見渡してみると、セッションAとセッションBの会場の近くに「ワープゾーン」なるものが!? 恐る恐る押してみると…なんと1階のネットワーキング会場にあるブースに飛ぶことができました!
ワープゾーンのロゴ看板のところにURLが埋め込まれていて、クリックしたことで1階に瞬間移動できたようです。バーチャル空間で開催された展示会ならではの仕組みで、色々訪問したくなるような仕掛けが満載でした!

セッションA会場とB会場の間に「ワープゾーン」
参加者同士の交流は基本的にアバター&声のみで
この展示会の特徴は参加者が基本的にアバター&声のみで交流していたこと。oViceにはその場でビデオ通話を行える機能も付いていますが、それをあえて使えないように設定し、画面共有機能のみにとどめることで、初めてoViceを触った人でも混乱することなく交流できるよう工夫されていました。
もちろん展示会来場者のなかには、顔を見て商談したいという方もいらっしゃいます。その方たちのために「商談ブース」を設け、その部屋の中に入ると初めてビデオ通話ができるようにされていました。
使える機能をあえて絞る。こうした大規模なオンライン展示会でスムーズにやり取りするには大事なことかもしれません。

会場に設けられた商談ブースでは顔を見て会話することが可能
成功の秘訣は事前準備にも!運営側の徹底的な練習、出展者へのプレゼン、会場の事前開放
上記のように、さまざまな工夫がされていたオンライン展示会会場。しかし実は、今回の展示会成功の秘訣は事前準備にもありました。
最大のポイントは、まず運営者側が運用に慣れること!オンライン展示会参加者は、さまざまな通信環境下から色々なスペックのパソコンで会場にアクセスしてきます。どんなトラブルが起きやすいのか、そのトラブルはどのように解決できるのか、事前に対処方法などを熟知しているスタッフが多数いることが不可欠です。
今回の展示会では、運営側がさまざまなテストを行い、その結果をマニュアルなどにまとめて、社内外に共有していました。そうした徹底的な準備をすることで、トラブルの芽を事前に摘んでおくことができたのです。
また、出展者を募る際のプレゼンもoViceを使って行っていました。こうしたバーチャル空間に関する認知度は徐々に高まっていますが、まだ初見の出展者も多くいます。口頭で説明するだけでなく、実際にアクセスしてもらってプレゼンをすることで、出展者側にも事前に理解してもらうことができていました。
そしてとどめは会場の事前開放!これを行うことで、実際に参加者が事前に試すことができ、当日スムーズにアクセスしてもらうことが可能になりました。
主催者からの感想:富田直さん(eiicon company 共同創業者 COO/CDO)
コロナ禍によってオフラインのメリットを痛感した2020年となっていました。
ビジネス交流の場を多くの企業様からのお声も頂いてる中、毎年開催していた日本最大級のOIカンファレンスをこの状況下においても“ビジネス交流“の場にしなければと考えていました。
我々オープンイノベーションプラットフォームも“地の利に関係なく”提携先パートナーと出会える場を提供しています。だからこそ、今回「オンラインから始まる、大共創時代の幕開け」と題してオンラインでの開催をするという決断に至りました。
oViceさんのインフラはまさしく、“バーチャルのテナント“ということがわかる、リアルに近いかたちでの構築が可能で、近づいて自由に話すことも、商談ルームで話すこともセッション会場でセッションを聴くことも可能でした。
当然、バーチャルでの文化が成り立ってない現状においては、ハードルはありましたが参加者アンケートでも「参加して良かった」との高評価をたくさんいただくことができました。
oViceさんのインフラはまさしく“バーチャルのテナント(場所)”。我々自身が持っているビジネスコミュニティと接続して、バーチャルコワーキング「SHABERUBA(シャベルバ)」なども展開しております。今後も積極的にこのようなバーチャル上での文化をともに構築していけたらと考えております。

1階のネットワーキング会場全体図

2階のセッション会場全体図
◆oViceについて
oViceを体験してみたい方はデモ体験が可能です。
ご自身のバーチャル空間を持ってみたいという方は無料トライアルをお申込みください。