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重度身体障がい者の“働く”を変えたoVice メンバーとの連携に役立つ理由は、ずばり「雑談」

障害者雇用促進法に基づく特例子会社Man to Man Animoでは、重度身体障がい者を含む障がいのある方を雇用しています。同社では、重度身体障がいのある従業員はこれまでも在宅勤務でWeb制作やRPAに従事していましたが、コロナ禍をきっかけにバーチャルオフィスのoViceを導入。

これによりインターンの質が向上したことや、コロナをきっかけに世の中に定着した在宅勤務により活躍の場が広がっていることなどをインタビューにてお聞きしました。

利用企業名:Man to Man Animo株式会社(https://www.animostyle.jp/
取材対象者:中島さん、緒方さん(SMA当事者)
利用人数:約10名
企業概要:障害者雇用促進法に基づく特例子会社。事業内容はWeb制作事業・ストレスチェック・行政受託事業の3つ。最近ではRPAの受託開発や動画制作なども行う。また他社の支援や福祉施設からの一般企業への障がい者の就職支援も手掛ける。

<活用のポイント>

  • さまざまな働き方を実現する中で、雑談を含めたコミュニケーションや帰属意識醸成に課題感
  • 突発的に発生する業務の進行も、oViceがあればスムーズに
  • リモートのインターン生にとって「社会人としてどうふるまうべきか」を習得できる場としてoViceが役立つ
  • 在宅の重度身体障がい者にとってこれまで難しかった「一対一で会話をする」が容易に。障がい者にとっての可能性を広げてくれていると感じる

oVice導入で、重度身体障がいのメンバーの活躍の場が広がった

ーMan to Man Animoはどのような会社ですか?

中島:
2004年岐阜県で設立した特例子会社です。現在は愛知県と岐阜県、愛知県のサテライトオフィスという3か所の拠点があります。従業員は32名で、そのうちの13名が障害者手帳を持つメンバーとなっています。5名は完全在宅勤務です。

日本には障害者雇用促進法という法律があり、事業主が障がい者を雇用する義務などが定められています。当社は今後の日本社会の人手不足に向けて、ダイバーシティを実現するというミッションを持っています。障がい者だけでなく、高齢者・外国人など人材活用のための事業も受託しています。

ーoViceを導入した背景を教えてください

中島:
障がいのあるメンバーの中には、在宅や就労に適したサテライトオフィスでの勤務をする人もいます。このようにさまざまな働き方を実現する一方、雑談を含めたコミュニケーションに課題を感じるようになりました。メンバーにもう少し帰属意識も持ってもらえるようにと考えた結果、バーチャルオフィスであるoViceの導入を決定しました。

ー使ってみて、どんなところに変化を感じましたか

中島:
現状の使い方は、実は雑談をメインにというわけではないのですが、oViceを利用して良かったとすごく感じています。コロナで在宅勤務が世の中に広がったこともあり、お客様に「oViceに来ていただく」ということが自然と提案できるようになったからです。

もしもoViceがなければ、重度身体障がいを持のあるメンバーが営業訪問をするとか、外部の人と仕事をするということはとても少なかったと思います。それが今はできるようになっています。メンバーにとってのモチベーション、やりがいに大きく影響を与えていると思います。

また「オフィスにいる」という感覚も持てるようになりました。こうした感覚は、出社がない障がいのあるメンバーにとっては、なかなか得難いものだったと思います。

当社だけでなく、他社でも、障がい者雇用の面で参考にしていただける使い方ができていると自負しています。

▲Man to Man Animoのバーチャルオフィス

雑談しやすく、突発的事態にも対応しやすい環境に

ー本日は従業員の緒方さんからも感想などお聞かせいただけるとのこと、ありがとうございます。よろしくお願いします。

緒方:
緒方です、よろしくお願いいたします。いま入社5年目で、入社から完全在宅で勤務しています。SMAという病気で、体の中で動くのは指先だけです。パソコン操作は、画面上のキーボードを使っています。

RPAについてサテライトオフィスのメンバーに教えたり、その他サテライトオフィスの機器設定なども担当したりしています。

ー世の中の多くの人よりも、在宅勤務を長く経験されていますよね。コロナ禍で世の中に在宅勤務が広がってきて、気付いた変化はありますか?

緒方:
在宅勤務というと、これまでは一対一のやり取りだったのですが、世の中に在宅勤務が広がったことで、グループや複数メンバーで連携をとってやる業務が増えてきたなと感じました。

そうした中で、雑談がないことが業務のやりにくさにつながっているように感じました。

ーoVice導入前からお勤めとのことですが、以前と今を比べてどのような違いを感じますか?

緒方:
勤務を始めたころはZoomもない時代だったので、Skypeで連絡をとっていました。oViceを導入して一番強く感じたのは、声のかけやすさです。声をかけてもらうことも多くなったように思います。

それによって、突発的に発生した業務の進行や、想定外のトラブルや困りごとを解決するスピード感があがりました。内容を聞いてその場で解決する、ということが可能になったおかげです。

ーはじめてoViceに入ったときの印象を教えてください。

緒方:
面白いな!と感じて、ワクワクしました。仕事のなかでちょっと楽しみが生まれたように感じましたね。これまでプライベートでは、オンラインゲームで皆で集まって、みたいな体験はあったので、その気持ちを思い出したりしました。

コロナで当社の各部署でも在宅勤務が基本となってきたという状況があったので、oViceを導入してもうまくいくだろうと感じていました。

ーチャットツールとの違いはどこに感じますか?

緒方:
テキストを打つのがやっぱり大変なので、(チャットの場合は)なるべくシンプルに済ませようとしてしまいますよね。通話でのコミュニケーションをとることもありますけれど、やはり目的ありきで、本当に何も目的のない会話、つまり雑談ですけれど、それはなかなかできないですよね…

特にチャットツールは「業務のために使うものとして会社が持っているもの」という風に思っているので、雑談目的では使いにくいんです(笑) こうした点で、oViceは本当に気楽で…一緒に働くメンバーの趣味を知ったのも、oViceを通じてでしたね。

ー趣味を知ると、相手についての理解も深まりますよね。

緒方:
そうなんですよ。業務もやりやすくなったと思います。チャットツールと違って「顔が見える」「話せる状態」の役割は大きいと思います。「こういう人が一緒に仕事をしてくれているんだ」という理解ができたり、相手が上司であっても、お互いに意見が言いやすくなったように感じます。

インターン生にとって「社会に出たらどうふるまうか」学べる環境ができた

ー他にもバーチャル空間を提供するサービスはあると思うのですが、oViceの良さはどこにあると思いますか?

中島:
レイアウトの自由度の高さですね。会議室も、サイズ・個数を自由に設定できるので助かっています。

私たちのバーチャルオフィスでは、オフィスらしさを大切にしたいと考えています。物理的に出社できないメンバーが「職場」を経験する場を設けたいと考えているからです。

例えば何かわからないことがあれば、担当者を探して、「すみません今、良いですか」と確認をして、自分の疑問点を伝える…このようなやり取りが、物理的なオフィスでは起こりますよね。

こうした体験を、現在は在宅勤務となっているメンバーにもしてほしいと私は思っています。特にインターン生の場合、今後就職する勤務先で必ず役に立つと思います。

ーこうしたレイアウトの工夫について、緒方さんはどうお感じになりますか?

緒方:
私は時々、出張しての仕事というのもありまして、そういう時に仕事相手に対してどのような言葉遣いをするべきかなど理解しておくことは、やはりすごく重要だと思います。中島さんが話したように、oViceは外部の方と社会人としてどうコミュニケーションをとるのかを模擬体験できる場になっていると思います。

私が勤務を始めた数年前はメールで仕事の報告などをしていたんですけれども、このようなコミュニケーションの訓練はなかったので、それができることはすごく良いと思います。

世の中全体の「働き方」のスタンダードが変わり、障がい者にとってフェアな世の中に

ー世の中全体の「働き方」のスタンダードが変わったと感じることはありますか?

緒方:
テレワークという言葉がいつかは当たり前になるとは、働き始めた頃から思っていました。コロナ禍で、予想以上に急激に「当たり前」に近づいたなと。障がい者にとって、フェアな世の中になったと感じています。

例えば、「勤務先に利用できるトイレがなければ働けない」なんていうことが、これまでは当たり前のようにあったんです。「外へ出て働く」が基本である世界では、重度身体障がい者にとっては「あなたは働けないよ」と言われているに近かったんですよね。

ところが在宅ワークが当たり前になって、「私は働けるんだ」と考えることができるようになりました。障がい者が個人として働ける世界がいま現れつつあるように思っています。

ーそうだったんですね…その、新しい世界の実現にoViceは役立っていますでしょうか。

緒方:
もちろんです。このインタビューのように、一対一で会話をするというのがこれまで簡単ではなかったのですが、それが容易にできるようになりました。

SNSの普及もバーチャル空間・オンラインコミュニケーションへの抵抗感を下げてくれていると思います。こうした環境は、障がい者にとっての可能性を広げてくれていると思っています。

中島:
障がい者雇用の領域では、法律上の既定を満たすために人数を確保しよう、ではなく、障がい者にとってやりがいのある仕事か、あるいはキャリアアップを目指せる仕事か、そんな視点も大事になってきています。こうした目的を考えた際に、oViceは大きな役割を果たしてくれています。これまで勤務が難しかった方に就労の機会が生まれるわけですから。

「通勤が難しいから会社に来なくていいよ」という配慮は、障がい者の方にとっては疎外感を与えてしまうことにもなりかねません。健常者と障がい者の交わる場が限定的になっていて、共生社会の実現とは言い難いと思っています。この状況を打破してくれたのがoViceだと思っています。

また日本で働いている障がい者の方は、964万人のうちの60万人くらいと言われています。まだまだoViceを利用して働ける方、社会に出ていける方はたくさんいるのではないかと思います。(参考:令和4年3月28日 厚生労働省障害福祉課 第25回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料「障害福祉分野の最近の動向」)

緒方:
これまで世間からの目を感じていたんです。たとえば障がい者雇用を考えている企業さんにご説明をしたとして、「やっぱりうちは無理だわ」と言われることもあります。コミュニケーションをとることが難しいと思われることも理由にあるようです。

いま、そんな世の中を変えることのできるチャンスだと思っています。どういうことかと申しますと、多くの人にとっては、コロナ禍でせざるを得なくて始めた「在宅勤務」だと思いますが、これからの時代は「在宅勤務」があるからよかったというものを作り出していくタイミングだと思うんです。特に、oViceのようなバーチャル空間はこうした認識の転換を後押ししてくれると思っています。

▲oVice社のツアースペースで中島さん・緒方さんをインタビュー

重度身体障がい者にとっての理想の働き方・世界

ー緒方さんにとっての理想の働き方とはどんなものですか?

緒方:
今の働き方は理想的です。私はヘルパーと訪問看護を利用しながら働いています。就労場所が家でないとなると、制度的にも環境的にも働くための条件を整えるのが難しくなってしまいます。

ー中島さんは、今後の障がい者雇用はどのようにあるべきだと考えていますか?

中島:
私たちは、社会における障がいのあるなしの意識を、就労の分野でなくしていきたいと考えているんです。障がい者にはできないこともあるかもしれませんが、人材として能力の高い方ばかりです。「月に一回出勤しないと採用しない」という条件のため雇用しないのであれば、それは企業にとっての機会損失といえます。

彼らの本来の能力をしっかり見てもらうためにoViceは非常に有用だと思います。oViceがあれば、「うちの緒方さんに会ってみてよ」「うちの会社で打ち合わせしましょう」という提案ができるわけです。こうした使い方が広がるといいな、と思います…体感としては、こうした提案にのってもらえるお取引先はまだ1~2割くらいですが…。

ー今後oViceでやってみたいことを教えてください。

緒方:
障がい者雇用の実践や、当事者がどのように働くのかということはまだまだ社会や障がい者に知られていない情報なので、それを広げる活動をしたいと思っています。具体的には、障がい者雇用のセミナーに登壇したり参加したりしたいです。

特にoViceの特徴を活かして、座談会みたいな形でのイベントができたらいいなと考えています。外出するのはやっぱり結構大変なので、オンラインでいろいろな方との交流をできるのはありがたいです。

中島:
世の中にはたくさんの障がい者がいます。緒方さんのように、実力を発揮して働くことや、oViceのようなオンラインのバーチャル空間で他人とつながることはまだまだ先進的な取り組みで、そのことを知らない人もたくさんいるかと思います。まずは緒方さんを、ぜひロールモデルとして多くの人に知ってほしいと感じています。

私自身は、障がい者の方にとってオンオフ両方充実した世界を実現したいと思っているんです。オン(仕事)の面でいうと、障がい者にとってoViceを使ってできるようになることは多いと思いますので、ぜひ多くの会社でoViceを使ってほしいと思います。

oViceを使った事業の可能性も感じています。『障がい者雇用でのoViceの活用方法』みたいなセミナーをoViceで開催して緒方さんに登壇してもらえたら、きっと何か良い結果が得られるのではと想像しています。

オフ(プライベート)も大切な要素ですよね。この観点からは、もっと現実とバーチャル空間の融合がすすむといいなと思っています。たとえば、バーチャル空間で、現実世界にある交通機関を利用して移動して…その先にある目的地でバーチャル空間の施設を訪れる、そこにいる人に会う。そういう体験が自宅にいながらできるといいなと考えています。障がい者の中には、移動に制約のある方もいますので。こうした世界が実現すれば、スポーツ観戦ですとか、障がい者にとっていろんな新しく楽しめることの可能性が広がるはずです。