テレワークでサボり発生?実態と防止ポイントを解説
テレワーク導入後、勤務態度や様子が直接見られない環境の中で、マネジメント層は部下の「サボり」を懸念点に感じているようです。テレワークでは、オフィス出社に比べ従業員の自己管理に任される範囲が大きく、個々人のモラルやモチベーション次第でサボりが発生しかねません。一方で、若い社員は、上司からサボっているのではという不信感を抱かれることに不安やストレスを抱えています。
本記事では、テレワークにおけるサボりの実態を明らかにし、予防するためのポイントや役立つツールを紹介します。
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テレワーカー サボりの実態
管理職の不安と部下のサボリ状況にギャップはあるのか、調査結果をもとに解説します。
半数以上の管理職は部下のサボりを心配している
リクルートマネジメントソリューションズが調査したところ、管理職の56%が「在宅勤務中の部下のサボりを心配している」と回答しました。年代が高い人ほど、部下の勤務態度や仕事ぶりをチェックすることが重要だと考える傾向が見られ、部下が視野に入らない在宅勤務という状況に対し不安を抱えてしまうようです。
一方で、7割を超える管理職が在宅勤務を「自己管理力を身に着けるいい機会」と捉えています。管理職自らがテレワークを経験することで、無駄な業務を削ぎ落し、ワークライフバランスを実現できる点にメリットを感じ、マネジメントにおいてもプラスに捉えやすくなっていることが予想されます。
一方で、「サボっている」と疑われることに不安を感じている社員は、20代の約2人に1人、30代以上の約3人に1人見られ、とりわけ若手社員が不安を感じやすい傾向が見られます。
テレワーク環境では、上司と部下、同僚同士がお互いの不信感を減らし、離れた拠点でも信頼できる関係の構築が重要になってきます。

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テレワーク中にサボったことある人は7割
マイナビニュースの調査によると、実際に「サボったことがある」人は、74%と高い数値です。サボりの内容は、動画サイトや漫画、ゲームといった娯楽や、お菓子をつまむ、昼寝をするなど、自宅での誘惑によるものが挙げられます。また、子どもの面倒を見たり、通院などで外出するという声もありました。会社が定める休憩時間中や休暇取得の上で、仕事以外の用事に時間を費やすのは問題ありませんが、周囲の目がない環境であるがゆえに、勤務時間中にもかかわらず、仕事から離れてしまう人が多くいます。
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実は働きすぎる人もいる
サボり経験者が多いのは事実ですが、自身の存在価値を出したいという思いや、成果を認めてもらいたいといった心理から、オフィス出社時以上に働きすぎてしまう人もいます。頑張りすぎて燃え尽きてしまう「バーンアウト」に至る前に、社員を救う手立てが必要でしょう。
そのほか、閉じられた環境で作業の中断がなく、業務に没頭しすぎて長時間化してしまうケースもあります。
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なぜサボりが発生するのか
テレワークは、業務に合わせて従業員自身が場所を選び、効率的に働けることがメリットの一つです。サボりが発生する要因を見極め、防止につなげることが重要になります。
テレワーク中にサボる理由
オフィスに出社する働き方は、同僚や上司が近い距離に存在し、組織の一体感を感じながら成果を出そうという高いモチベーションを持てます。一方、テレワークではそれぞれが独立した場所で、モチベーションを高め、集中して仕事を進めなくてはなりません。
業務を中断し、サボりに至ってしまう理由は、以下の5つが考えられます。
- 仕事に集中できる環境になっておらず、オンとオフの切り替えがしづらい
- 会社や組織への帰属意識が弱まり、仕事への責任感が薄れる
- 成果が正当に評価されているか不明でモチベーションが低下する
- 業務フローが明確化されておらず、どう進めていいかわからない
- 仕事の本質を理解しておらず進まない、上司も適切な指示ができていない
テレワークでサボる人は出勤してもサボる人がほとんど
テレワーク中、目が行き届かない環境でのサボりに注視しがちですが、サボりは環境だけの問題ではありません。調査によると、在宅勤務中にゲームやネットショッピングなどでサボる社員のうち、94%は出社してもサボるという事実が判明しています。一方で、優秀人材はテレワーク中でも変わらず目標意識が高く、率先して報告やチームへの共有をし、仕事の質とスピードを保ちます。明確に進捗を伝えるため、上司や周囲からのサボり疑惑も生まれないでしょう。
サボりを抑制するためには、社員が責任をもって仕事をするようなマネジメントと評価方法が重要だと言えます。
サボりの判断基準は人により異なる
どういう状態をサボりと見なすかは、企業や判断する人により異なってきます。
ヌーラボが実施した調査によると、自分や他者に対して仕事をしているか判断する基準は、「その日やるべきタスクを実行しているかどうか」というプロセス重視と、「期待される成果を出しているかどうか」という成果重視に二分され、労働時間を重視するという意見は少数でした。
ワークスタイルにかかわらず、仕事を進める上で何を重視するのか、価値観の擦り合わせが大切です。
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サボり防止に効く5つのポイント
一概に定義しづらいサボりですが、組織の生産性を高めるためには予防策が必要です。ただし、勤務態度に対する監視を強化するだけでは、社員のモチベーション維持が難しくなるため、メリハリある働き方の実践やコミュニケーションの活性化に目を向けると良いでしょう。
①コミュニケーションを見直し、信頼関係を構築する
テレワーク中、オフィス内にいる時に比べ、上司と部下のコミュニケーションが希薄になりがちです。上司が部下に対し疑心暗鬼にならないように、1on1ミーティングを定期的に実施し、部下の状況がキャッチアップできる機会を増やすと良いでしょう。信頼関係を築けるだけでなく、解決に向けたアドバイスをすることで、業務効率も上がります。
また、カジュアルにやり取りできるビジネスチャットや、お互いの顔を見ながら会話できる
Web会議などのツールを活用し、コミュニケーションのハードルを下げるのも効果的です。
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②疑似的なオフィス環境を作り、帰属意識を高める
社員同士が離れた場所にいても、オフィスならではのメリットを維持できるのがバーチャルオフィスです。疑似的なオフィス環境を作ることで、組織やチームのメンバーとの一体感が生まれ、自然にコミュニケーションが生まれやすくなります。
同じ空間内でお互いの存在が可視化され、気軽な声掛けやミーティングなど、オフィスと同様の近い距離感で仕事ができ、組織や企業への帰属意識が高まります。
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③成果重視の評価でモチベーションを高める
評価基準を、時間やプロセスではなく成果重視にすることで、「仕事をしているかどうか」の判断が人に依存しなくなり、公平感が強まります。評価項目の明確化や、社員からのアウトプットをどう管理するかなど運用を整理しましょう。評価への納得度はモチベーションに大きく影響します。
④柔軟な勤務形態で、時間あたりの生産性を上げる
勤務形態にフレックスタイム制を導入するなど、社員が柔軟な働き方を選べるようにすることで、業務効率化の意識が強くなり、メリハリある働き方を促進できます。
定型勤務では、持て余した時間にサボるリスクがありましたが、フレックスタイム制では日々の勤務時間が調整できるため、サボりが生まれにくくなります。
⑤ジョブ型で業務を割り振り、やるべき範囲を明確にする
雇用制度のひとつに「ジョブ型」がありますが、担当する仕事の内容や責任範囲を明確に定義した上で採用する方法です。社員は自ら果たすべき役割やミッション、達成すべきゴールに迷いがなくなり、生産性が高まる効果があります。
組織内の業務割り振りにおいても、同じ考え方を踏襲することで、社員一人ひとりが責任範囲とやるべきことを把握でき、主体的に取組みやすくなります。また、マネジメント層は、業務指示や進捗管理、達成度合いを把握しやすくなるでしょう。
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